アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎とは

トピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。アトピー性皮膚炎では、肌のバリア機能(角質と皮脂がさまざまな刺激、乾燥などから体の内部を保護する機能)が弱まることでかゆみを引き起こします。我慢できないほどのかゆみにより皮膚をかきこわしてしまい、さらなるバリア機能の低下と炎症を引きおこす悪循環に陥ります。主な症状として、皮膚の赤み・かゆみ・発疹・乾燥・落屑(らくせつ=皮膚がぽろぽろとはがれ落ちること)・ジュクジュク(滲出液が出ている状態)などがあります。症状が現れる部位は全身に及び、左右対称に現れるのが特徴です。

どんな症状?

強いかゆみと湿疹

赤みのある湿疹、ブツブツとした湿疹、ジュクジュクとした湿疹、ゴツゴツしたしこりのような湿疹がよくみられ、掻くことによって皮膚が厚くゴワゴワした状態になったり、かさぶたができたりします。
また、湿疹ができやすい部位にも特徴があり、個人差がありますが、顔、耳や首回り、わきの下やひじの内・外側、ももの付け根、ひざの表・裏側などに多くみられます。
これらの湿疹は強いかゆみをともない、良くなったり悪くなったりを繰り返し慢性的に続きます。かきすぎて出血を起こしたり、化膿し痛みをともなったり、また周囲に広がったりしてしまうこともあります。

皮膚に刺激が加わると悪化

アトピー性皮膚炎の肌はバリア機能の低下により敏感な状態になっているため、唾液や汗、髪の毛との接触、衣類とのこすれ、かきむしりなど、日常生活での皮膚への刺激や塗り薬、化粧品、香料、金属、シャンプー・リンスなどのアレルギーで症状が悪化することもあります。また、ほこりやダニなどのハウスダストや花粉などの環境的な要因が刺激となって症状が悪化することもあります。

皮膚の乾燥とかさかさ

本来皮膚に備わっているバリア機能は角層の内側の水分の蒸発を防ぐ役割を担っていますが、バリア機能が低下することで肌が乾燥しやすくなります。その結果肌がかさかさときめの粗い状態になり、その部分から湿疹が出てくることがあります。

どうやって治すの?

アトピー性皮膚炎は、適切な治療により症状がコントロールされた状態が長く維持されると、症状がなくなる寛解が期待できる病気です。アトピー性皮膚炎の治療は症状の強さによって異なり、症状に応じて「薬での治療」「スキンケア」「悪化させる原因の対策」の3つを組み合わせた治療が基本です。治療は、「症状がないかあっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に到達・維持すること」、「軽い症状は続くけれども急激に悪化することはまれで、悪化しても症状が持続しないこと」を目標に進められます。

アトピー性皮膚炎のスキンケア

乾燥を防ぎ、皮膚のバリア機能を正常に保つためのスキンケアは、アトピー性皮膚炎の治療のひとつとされています。また、アトピー性皮膚炎は、症状の改善と悪化をくり返すことがあるため、症状が重いときだけでなく、軽いときにも、スキンケアを行うことが大切です。 スキンケアの基本は、「清潔な皮膚を保つこと」と「保湿で皮膚のうるおいを保つこと」です。アトピー性皮膚炎の炎症部位からは、よく黄色ブドウ球菌という細菌が検出されます。この菌がひっかいてできた傷やバリア機能が低下した皮膚から侵入することがあるので、入浴やシャワーなどで洗い流す必要があります。炎症の引き金となるような刺激物質を洗い流すという意味からも、皮膚を清潔に保つことは重要です。 また、保湿剤は、皮膚の水分が逃げないように“ふた”をしたり、皮膚に水分を与えたりする役割を持っています。健康な皮膚には角層のバリア機能があり、水分の蒸発や外からの刺激を防いでいます。しかし、皮脂、天然保湿因子、角質細胞間脂質といった皮膚のうるおいを保つ物質が不足して皮膚が乾燥した状態(ドライスキン)になると、角層が剥がれてすき間ができ、外からの刺激を受けやすくなったり、体内から水分が出ていきやすくなったりします。健康な皮膚を守るため、季節に関係なく、保湿剤を塗ってスキンケアをしましょう。 「清潔な皮膚を保つこと」「保湿で皮膚のうるおいを保つこと」この2つを正しく行い、皮膚のバリア機能をしっかりと保持しましょう。

スキンケアのポイント

1. 肌の清潔を保つ
・汗や汚れは速やかに落とす
・強くこすらない
・石鹸、シャンプーを使用するときは洗浄力の強いものを避け、十分にすすぐ  (刺激の少ない泡タイプがおすすめです)
・かゆみを生じる高い温度の湯を避ける
・刺激となるような入浴剤の使用を避ける
2. 肌を保湿する
・入浴後は必要に応じて保湿剤を使用し、肌の乾燥を防ぐ
・夏はさっぱりとした使用感のもの、冬は皮膚を覆う効果に優れたものを使用する
・塗る範囲が広い背中などは塗り広げやすいフォームやローション、髪の毛のある頭皮もさっぱりとした使い心地がよいフォームやローションを選ぶ
・薬を塗る前には手を清潔にする

アトピー性皮膚炎に使われる薬

ステロイド外用薬

かゆみのもとである炎症を鎮める「ステロイド軟膏」を上手に活用することによって、かゆみを抑えることができます。
「ステロイドは怖い」というイメージから、ステロイド軟膏を使わずに治療を続ける方もいますが、かきむしってしまったら意味がありません。悪循環を断ち切るためにも、ステロイド軟膏を上手に使用しましょう。ステロイド軟膏は効き目の優れた薬ですが、だから副作用が強いというわけではなく、使用上の注意を守って使用すれば、心配はありません。また、ステロイドには「ストロング」や「ウィーク」など強さのレベルがあり、神田鈴木皮膚科では患者さまの皮膚の状態を診ながら最適なステロイドを処方しています。かゆみが強い部分にステロイド軟膏を使い、症状が改善しかゆみがなくなった部分は保湿剤でスキンケアするといったコントロールを行っていきましょう。

カルシニューリン阻害外用薬(タクロリムス軟膏)

タクロリムス軟膏の成分であるタクロリムスは、アレルギーの免疫反応を抑える抗炎症作用により、皮膚炎の赤みやかゆみを抑えます。タクロリムスはステロイドホルモンではないため、ホルモン作用による副作用はみられません。特にステロイド外用薬による副作用が出やすい皮膚の薄い顔や首などにも使用しやすい薬です。使用を開始して3~4日間は塗った部位にヒリヒリとほてりや、弱いかゆみを感じますが、そのまま塗り続けると、ほとんどの方はそのような症状はなくなります。

生物学的製剤(デュピクセント)

スキンケアやステロイド外用薬、タクロリムス外用薬などの治療でもコントロールが難しい中等症以上の患者さんには、アトピー性皮膚炎の肌のバリア機能低下や炎症、かゆみを引き起こす原因となるサイトカインという物質をブロックすることで症状を改善させる生物学的製剤(デュピクセント)が保険適用となっています。神田鈴木皮膚科でもデュピクセントを取り扱っており、デュピクセントはサイトカインの中でもIL-4とIL-13の働きを直接抑えることで、炎症反応を抑制する薬剤です。またデュピクセントは2023年9月より、生後6ヶ月の小児の患者さまに対しても適応が承認されています。既存の治療薬と比較して効果の高い薬剤で、これまでさまざまな治療を行っても症状が安定しない患者さまや、重症度の高い患者さまはぜひ一度神田駅徒歩1分の神田鈴木皮膚科までご相談ください。

デュピクセントの治療費について

デュピクセントは保険適用ではありますが、効果が高い分高額な薬剤となっています。
1本あたりの金額は下記からご覧いただけます。
https://www.support-allergy.com/payment
患者さまによっては、治療費の負担を軽減できる場合もあります。

・お勤めの企業による独自の保障制度(付加給付制度)を利用できる方

・23区内にお住まいの生後6ヶ月~高校生までの方

・ひとり親世帯の方

上記の保障制度が適用とならない方でも、
「世帯収入による高額療養費制度」を利用できる場合があります。
※この制度はご自身の年収をはじめとしたご状況によって変動しますので、下記をご活用ください
https://www.support-allergy.com/simulation

根本原因を追究し
再発予防・治療の最適化を Contact

「薬を塗っても治らない」「何度も繰り返す」は皮膚科専門医できちんと診断、しっかり治療しましょう。
ビジネス街の中心に位置していることもあり、忙しい患者さまをなるべくお待たせしないよう
待ち時間の短縮に日ごろから努めています。